離婚と財産分与に伴う課税関係

 2015年統計では、離婚件数226,215件、これは2分30秒に一組離婚していることになります。離婚する際に、夫婦で購入した家や預金などを分けることも特に熟年離婚の場合は多いかと思います。

 民法768条1項に「協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。」とあります。財産分与について、紛争があれば、一般的には調停や専門家である弁護士にお願いされると思いますが、ここでは、税理士として課税関係について、つぶやいてみました。

  よく勘違いすることは、貰った側が税金を払うということです。課税されるのは、分与を受けた側ではなく、分与者になります。

 例として、夫が妻に5千万円の財産分与をすると夫婦で決め、時価5千万円の土地を分与したとします。この土地は、以前に3千万円で購入したものです。

 この例で課税関係をみますと、夫に5千万円(債務消滅益)-3千万円(取得価額)=2千万円の譲渡所得が発生したと考えることになります。(最高裁判所S50.5.27判決)

 実際には、収入はなく課税されるわけですから、財産分与に当たり十分な注意が必要となります。土地は売買していませんが、取得価額と時価とのキャピタルゲイン(資産益)に課税されます。

 妻には、譲渡所得や贈与税は発生しませんが、不動産取得税(原則はかかりません)や登録免許税はかかります。

 なお、現金や預金を財産分与しても課税されることは、ありません。

 財産分与を現金、預金以外の不動産や株式等で行う場合は、財産分与前に税理士にご相談することをお薦めします。

 最後に、過大な財産分与を行った場合、過剰な部分について贈与があったとみなされるケースもありますので、ご注意が必要です

 

  本日(12月1日)「科捜研の女」で、「姻族関係終了届」が出てきましたので、提出後の関係について、追加しました。配偶者の死亡により、配偶者の親族との関係を断ちたい場合に、この姻族関係終了届」手続きを行なうことにより、姻族関係を切ることができます。配偶者の死亡により、残った配偶者がその姻族関係を終了させるために行なう手続きのことです。(離婚の場合は、解消されます。)

 ただし、その子供は死亡した配偶者の血族との関係には影響はありません。子供から見れば血族ですから当然ですね。ですから、死亡した親の父母の代襲相続も可能となります。

 また、配偶者の遺産を相続した場合でも、相続分を戻す必要はありません。

 専門家である弁護士や司法書士にご確認ください。