法人税節税の王道

 ここでは、合法的に法人税を節税するための方法をいくつか紹介します。

  節税を考えるに当たり、2つの大きな要素があります。

  1 節税効果の持続性

 ⅰ 効果が永続的なもの

 ⅱ 効果が一時的なもの

2 節税するためのキャッシュ

 ⅰ キャッシュが必要なもの

 ⅱ キャッシュが不要なもの

 この要素を考え、自社に最適な方法を見つけてください。

 効果が続き、お金が掛からない方法がベストですが、既に役員給与の定期同額給与や、短期前払費用の年度内損金算入等は、多くの会社で実施していますので、割愛しました。

   また、事業に必要なキャッシュを節税対策に回すことは絶対に避けることが大事ですし、節税対策を行わないで、財務体質を強化することも大事なことです。特に創業後まだ留保利益が少ないときには、財務体質強化のため、会社に利益を留保することで融資が容易になることも事実です。節税と内部留保の関係は、基本的に相反するものであることから、会社を中長期的な視点から対策を行いましょう。

 ポイント1

 旅費規程の整備

    ・ 旅費規程に基づいた出張手当は、全額損金算入され、消費税の課税仕入れに該当

・ 旅費規定に基づいた出張手当は、給与課税されず非課税となる

・ 旅費の実費精算が不要なため、事務手続きが簡略化できる

ポイント2

 役員退職慰労金規程の整備

  役員退職金は、損金算入できる

  役員退職金は退職所得となり、役員個人の所得税が少なくなる

  法人の純資産が減少し、株式評価額が下がる(相続税節税の効果)

資金手当ては保険が最も有効な手法です。

ポイント3

 決算期の変更

      売上ピークが毎年決まった時期となる場合、そのピーク時期を外した決算月とする

  収益の予測がある程度把握できることから、対策を行う時間的余裕ができる

  決算期と繁忙期をずらすことで事務の平準化が可能となる

ポイント4

 役員報酬の最適化

       役員報酬は事業年度開始日から3カ月以内に変更しなければなりません。

    中小企業の大半が同族経営であり、役員が家族であることが多いと思われます。多い役員報酬とすれば法人の所得は減少しますが、役員の所得税は増加します。税金以外の社会保険料も考慮したうえで、家族間の最適な報酬額を決定しましょう。

    例えば、夫婦のみが役員、月額報酬は併せて100万円とした場合をシミュレーションしましょう。

前提:夫婦とも40歳以上65歳未満、所得控除額は基礎控除額と算出した社会保険料のみと仮定します。単位千円

                         【ケース1】        【ケース2】   【ケース3】   【ケース4】

 
月額報酬額 500 500 800 200 400 600 913 87
年額報酬額 6,000 6,000 9,600 2,400 4,800 7,200 10,956 1,044
所得税 201 201 740 38 121 342 898 0
住民税 309 309 594 87 229 395 678 5
社会保険料 892 892 1,224 357 731 1,052

1,321

0
合計 1,403 1,403 2,557 481 1,082 1,789 2,897 5

 このケースでは、ケース1が少なく見えますが、会社負担の社会保険料まで計算するとケース4が有利になります。(計算は概算ですので、正確ではありません。)

ポイント1からポイント4までは、直ぐにでも対策が可能です。

 

 他にも、効果が一時的なものや課税の繰り延べ(一時しのぎ)の対策もありますので、後日アップ予定です。

 実際の決算状況や会社の将来設計のお話を聞きながら、貴社に最適のご提案をすることも税理士としての責務と考えていますので、お気軽にお問い合わせください。