医療費節約術と医療費控除
厚労省が公表した平成26年度の国民医療費(分娩・健康診断・予防接種等は含まれない)は、40兆8,071億円と前年に比べ7,461億円増加しており、今後も増加が予想されています。そのうち、国や地方の公費からの支出が4割弱になります。
窓口負担は多くの方が3割となっていますが、それ以外に国民の税金等からの負担があることになります。議員定数削減や政治資金の白紙領収書や領収書改ざんなどのニュースを見ますと使われ方の問題も感じるかと思いますが、国にも自分の財布にも優しい医療費の節約と医療費控除について、記載しました。
◎誰でもできる医療費節約
1 受診する時間によっては時間外加算がある。
病状により、やむを得ない場合以外は、平日であれば、18時、土曜日なら12時前に受
診することで、時間外加算がありません。また、日曜日・祝日は休日加算、22時以降の
深夜加算の他、薬局でも時間外加算(平日19時、土曜日13時)があります。
病院の時間外加算は、初診850円、再診650円(実際の負担額は3割分)
2 お薬手帳を持っていけば薬局での料金が安くなる。
初めての薬局の場合や、6か月以上その薬局を利用していない等で安くならない場合も
ありますが、薬のトラブル防止のためには持参したほうがよさそうです。
その他、ジェネリック医薬品を使用、大学病院等の大病院は紹介状がないと特別料金が発生する、院内処方の病院の方が負担が少ない場合が多いなど、インターネットで「医療費節約」と検索すれば、多くの情報が出ています。
◎医療費控除
医療費控除は、所得税法73条に規定され所得税確定申告で多くの方が関係する控除になります。
①概要(国税庁タックスアンサー引用)
1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。
1年間で10万円を超す医療費の支払いがあれば、医療費控除が受けられるというのが、一般的な認識かと思います。
医療費控除の対象となるものは、国税庁ホームページhttp://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1122.htmを参考としてください。対象外となるものは、例えば美容整形や健康診断、予防接種、ビタミン剤購入費用等、直接的に診療・治療に該当しないものです。ただし、禁煙治療は該当します。
ここでは、ご注意いただきたい事柄について説明します。
★有利なのは、一家で1番所得の多い人(所得税が多い人)にまとめて、控除を受けることです。扶養家族に入るかどうかではなく、例えば夫婦共稼ぎの場合でも一緒に生活していれば、所得の多い方で控除できます。ただし、妻がクレジットカードで支払った治療費を夫の控除に含めることは、難しいと思われます。②(1)で記載したように、納税者が親族のために支払った医療費と規定されていることから、妻の預金で決済されるクレジットカード支払いでは、その要件に該当しないからです。(妻や家族のクレジットカードでも夫の預金からの引き落としであれば該当します。)
★交通費
診療のため病院に公共交通機関で行った場合も対象となりますので、家計簿や領収書の裏側にでもルートと金額をメモしておいてください。
ただし、自家用車で行った場合の高速代、ガソリン代、駐車場代等、すべて該当しませんので、ご注意ください。なお、タクシー代については、公共交通機関が使えない理由、交通手段がタクシーしかない場合は該当すると思われます。名古屋市民で65歳以上で敬老パスを持っている方は、地下鉄・市バスはくれぐれも入れないでください。
★1月1日から12月31日までの間に支払った医療費について、この期間に算入できるものは、支払いベースです。例えば、12月入院分を1月4日に支払った場合は、新しい年の医療費控除の対象となります。
★住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)を受けていて、所得税が0円の場合でも医療費控除の申告をすることにより、住民税が安くなります。その際は、所得税の確定申告ではなく、市民税申告をお住いの区役所(市役所)で申告してください。
医療費控除については、実際に多くのケースがありますので、ここでは書ききれませんので、個々のケースについては、国税局税務相談室や税務署にお尋ねください。
なお、スイッチOTC薬控除も新設されましたので、医療費控除か有利な控除を選択してください。