相続の勘違い2

 今回は、相続の放棄について記載しました。

 相続が開始した場合、相続人は次の3つのうちのいずれかを選択します。

 ①単純承認(亡くなった人の権利も義務もすべてを受け継ぐ)

 ②相続放棄(亡くなった人の権利も義務も一切引き継がない)

 ③限定承認(引き継いだ財産を限度として債務の負担を受け継ぐ)

 ②、③を選択した場合、家庭裁判所にその旨の申述をしなければなりません。

 裁判所ホームページ http://www.courts.go.jp/saiban/syurui_kazi/kazi_06_13/

 この選択を勘違いして、相続放棄をすると取り返しのつかないことになりかねません。

 例えば、父が亡くなり、子供はすべての財産を母に相続させようと相続放棄すると第1順位である子から第2順位の直系尊属、第3順位の兄弟姉妹と相続権が移ってしまいます。(配偶者である母親は常に相続人となります)

 せっかく母に全財産を相続させようと相続放棄したことで、第2順位であれば2/3、第3順位に移ってしまえば3/4人が母の法定相続分となり、全財産が相続できない可能性がでてきます。

 この場合は、母が全財産を相続することを子は単に承認すればよいだけです。(遺産分割協議書などで)相続放棄は原則撤回できませんが、詐欺や脅迫により相続放棄したなどであれば早急に弁護士に相談することをお勧めします。

 なお、相続放棄をしても相続税の基礎控除の計算においては、法定相続人として1人600万円として計算します。死亡保険金の非課税限度額の計算においても同様です。

 

◎相続税の謝りやすい事例

相続税の申告書作成時の誤りやすい事例集(平成29年4月1日現在)が国税庁ホームページに公開されています。ご参考にしてください。http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/sozoku-tokushu/souzoku-ayamarijireishu29.htm