相続の勘違い1

 相続税の基礎控除が平成27年1月1日以後の相続開始分から5千万円から3千万円に引き下がられ、相続税対策をお考えになる方も多くなったのではと思います。

 そこで、今回のつぶやきは、相続に関していくつかの勘違い・誤りについてアップしました。

 なお、相続については、難解なところも多いため、相続に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。生前の相続税対策や相続税のご相談は税理士にお任せください。

1「死亡保険金受取人が相続放棄した場合は、その死亡保険金を受け取ることができない。」

 例えば、保険契約者・被保険者とも父親で、長女が死亡保険受取人の場合、受け取った死亡保険金は長女固有の財産となることから、相続放棄していても受け取ることはできます。ただし、受け取った死亡保険金は、みなし相続財産とみなされることから、相続税の対象となります。相続税の課税対象となる死亡保険金については、国税庁ホームページに概要と計算式がありますので、ご参考としてください。http://www.nta.go.jp/taxanswer/sozoku/4114.htm

2「遺言書をつくると自由に使えなくなる。」

 遺言の後でも、財産の処分は自由に行えます。遺言書の効果が発生するのは、亡くなってからです。遺言書の内容と抵触する法律行為を行った場合は、抵触する部分について、撤回されたとみなされるだけです。

3「相続放棄すれば、空き家の維持・管理責任はなくなる。」

 結論は、相続放棄しても直ちに責任がなくなるわけではないとなります。

 民法940条(相続の放棄をした者による管理)に『相続の放棄をした者はその放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。』とあります。

 空き家増加を防ぐために、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例が創設されました。財務省のホームページに概要があります。http://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei16/03.htm